Column Column

コラム コラム

【コラム】森から暮らしへ。大分県日田市とつくる、地域産材家具の裏側

【コラム】森から暮らしへ。大分県日田市とつくる、地域産材家具の裏側

BESSが大切にしてきた木との暮らし。家だけでなく、暮らしのなかで日々触れる道具も「本物」をお届けしたい。そんな想いから、特別なテーブルと座卓が誕生しました。素材に選んだのは、大分県日田市の「日田杉」。この家具には、日本の森と暮らしを繋ぐ、ちょっと特別なストーリーがあります。

海外材から国産材へ。そして大分県「日田」との出会い

今から約5年前、BESSはひとつの大きな決断をしました。それは、ログ材の主力を海外からの輸入材から、国産杉へと切り替えること。日本の森を元気にし、日本の気候風土に合った家をつくるためです。その歩みのなかで深く結びついたのが、豊かな森林資源と林業の歴史を持つ大分県日田市でした。

真っすぐな樹木は手入れをされてきた証拠

山元と組む、顔の見えるサプライチェーン

日田市での取り組みは、ただ市場で木材を買うだけではありません。私たちは、地元の山元(森林所有者)や林業に携わる方々と直接手を結び、独自のサプライチェーンを築いてきました。森を育て、丁寧に伐り出し、余すことなく使い、また次の世代へ向けて植える。この地域材活用の美しいサイクルを、家づくりだけでなく、もっと身近な形でもお客様に届けたい。その想いが、日田杉を使ったオリジナル家具づくりへの第一歩となりました。

【Voice.1】日田の森を育てる(マルマタ林業 合原さん)

マルマタ林業

江戸時代に端を発する歴史ある林業会社。日田市や由布市などに約1,030haの広大な社有林を持ち、苗木の植林から育成、伐採までを一貫して手掛けています。何十年も先の未来を見据え、持続可能な森づくりに力を注いでいます。

合原 万貴(ごうばる・まき)さん

同社の3代目。大学卒業後に家業へ入り、日田杉の豊かな資源を守りながら、未来へ向けた新たな林業の形を発信し続けています。

合原氏の案内で日田の森を歩く 静かな森に包まれ身心の緊張がほどける

—日田の森には、どのような特徴があるのですか?

合原さん:日田は、街から車で少し走ると杉山が広がっています。昔から山に関わる人が多く、山を大切な財産として受け継いできた地域です。日田では、山の多くを民間の方が所有していて、江戸時代に商人が山へ投資したことなども、今の山の所有のあり方につながっていると聞いています。そうした歴史の中で、土地や土に合わせた杉が育てられてきました。杉は一種類の木のように思われがちですが、実際には品種がいろいろあります。日田にも多様な杉があり、地域ごとの環境や、育ててきた人たちの考えが反映されていると思います。

—杉の品種がいろいろあるというお話がありましたが、製材したり、製品にするときにも、その違いは関係してくるのでしょうか?

合原さん:関係します。木を扱う人には、それぞれ好みやこだわりがあります。たとえば、木の色や油分、製材したあとの乾燥の具合など、「こういう木がいい」という感覚を持っている方がいます。話を聞いているだけでも面白いですね。一方で、品種や性質が多様だからこそ、同じものを大量にそろえるのは簡単ではありません。たとえば「この品種を何百立方メートルほしい」と言われても、すぐに用意できるとは限らない。地域に根づいた木の多様さは魅力ですが、安定して同じ規格の材を確保することとは、また別の難しさがあります。

—山で育った木が、製材所やものづくりの現場へ届くまでには、地域の仕組みも大切になりそうです。

 合原さん:そうですね。日田には木材市場が複数あり、日田の外からも木材が集まってきます。市場があることで、製材所が必要な原木を探しやすくなり、仕入れをしやすい環境がつくられてきました。日田には、地域に根ざした中小規模の製材所がたくさんあります。大きな工場だけでなく、それぞれの製材所が、自分たちの仕事に合う木を見極め、加工してきました。山から木が出て、選別され、製材される。その積み重ねが、日田の木の産業を支えているのだと思います。

手慣れた手つきで伐採 幾層に重なる年輪が育ってきた時間を語る

—今回、日田の木材が家具としてユーザーのもとへ届くことになりました。どのように感じていますか。

合原さん:日田の材が家具になり、使う人のところへ届く機会ができたことは、とてもうれしいです。これまで、そうした取り組みをもっと広げたいと思いながらも、なかなか機会がありませんでした。家具を使うことで、「これはどこで育った木だろう」「どんな人が関わっているのだろう」と考える時間が生まれたらありがたいですね。ものが売れることはもちろん大切です。ただ、ものだけが売れて、その背景にある山や林業、製材のことが伝わらないままでは、少しもったいないと思っています。木を使うことを通して、日田の山や地域に関心を持つ人が増えたり、「日田に行ってみたい」と思ってもらえたりする。そんなつながりが生まれるとうれしいです。

—今回の取り組みが、家具を使う人、森や林業に関わる人、ものづくりの人、様々な立ち位置のつながりが出来るきっかけになると良いですね。

合原さん:木を使う方や、家を建てる方ともコミュニケーションを取りながら、それぞれが気になることや、大切にしたいことを話し合えるといいですね。木は山に立っているときには生き物ですが、伐られて丸太になり、製品になると、そのことが見えにくくなります。木が生き物であることや、育ってきた時間を知ってもらうことは大切だと思います。もちろん、山のことは林業に携わる人だけで理解できるものではありません。森にはいろいろな働きがあり、私たち自身も、まだまだ学ばなければならないことがあります。
家具や住まいを入り口に、使う人と山の距離が少し縮まっていく。木を使う責任についても、一緒に考えていけたらと思います。

—合原さんご自身は、今後どのような森づくりをしていきたいと考えていますか。

合原さん:まずは、今ある山をきちんと管理していくこと。そして、山の仕事を担う人を育てていくことが大切です。航空レーザー測量など、森の状態をデータで把握する技術も進んでいます。地形や木の本数などを細かく知ることができるようになってきました。
ただ、データがあればすべて判断できるわけではありません。実際に山を歩いて、現場を見て、木や地形の状態を考える人が必要です。技術を活用しながら、山で経験を積み、判断できる人を育てていきたいと思っています。
また、補助制度に沿った施業だけでなく、その場所に合った森づくりも考えていきたいです。杉だけでなく広葉樹を交えたり、山の恵みを感じられる森にしたり。木を育て、使うことと、森の将来を考えることを、長い時間軸でつなげていきたいですね。

—最後に、BESSユーザーへメッセージをお願いします。

合原さん:日田杉は、柔らかくて傷がつきやすいと言われることもあります。でも、触れていて気持ちがいい木です。その柔らかさが、受け止めてくれるようなそんな懐の深さを感じて頂けたらと思います。
家具の木目や年輪を見ながら、「何年かけて育ったのかな」「どんな場所で育ったのかな」と想像してみてください。木を使う日々の中に、山や森のことを思う時間が生まれたらうれしいです。

日田の森を守る マルマタ林業 合原氏

地元の家具職人が息を吹き込む

日田の材で日田の職人の家具をつくりたい。この想いに共鳴してくれたのが、日田市の地元家具メーカー日東木工さんです。無垢の杉材は、空気を多く含み温かみがある一方で、家具にするためには非常に高い技術が求められます。職人たちは、一本一本異なる木の個性を見極め、長年の経験と手仕事で息を吹き込んでいきました。そうして完成したテーブルと座卓は、触れるとホッと心が緩むような杉特有の柔らかさと、自然そのままの力強い木目を持ち合わせています。

職人の丁寧な手仕事による、美しい木目

【Voice.2】形にする人(日東木工 河津さん)

日東木工

1962年創業。ものづくり産業が盛んな日田市を拠点に、特注家具やインテリア家具の製造を手掛ける家具メーカー。最新の機械設備と熟練の職人技を高次元で融合させ、木の個性を生かした精度の高いものづくりに定評があります。

河津 亮(かわづ・りょう)さん

同社の代表取締役社長。日田の伝統技術を受け継ぎつつ、現代のライフスタイルに寄り添う、タフで美しい家具の可能性を追求しています。

—今回、日田材の家具づくりのオファーを受けて、どのように感じられましたか?

河津さん: もともと日田杉を使った家具づくりには関わっており、BESSさんの展示場にも何点か納品していました。その展示品を見て、「この家具がほしい」という声を複数頂いていたと聞いています。今回さらにアップデートを加えて、商品として多くの方に届けられることになり、とてもありがたく思っています。

—制作で特にこだわっているところを教えてください。

河津さん: まずは、材料選びです。板の状態を見て、どの部分を天板に使うかを判断します。木には節や割れ、白太と赤身の違いなど、それぞれに個性があります。木目のバランスを考えながら、一枚一枚選んでいきます。選んだ板も、削ってみると新たな表情が見えてくることがあります。そのたびに確認し、使う部分を見直す。そうした作業を重ねてから、板をはぎ合わせて天板にします。他にもこだわりの部分としては、脚の組み込みですね、金具を使わずに仕上げています。

—まさに職人技ですね。はぎ合わせも手作業ですか?

河津さん: はい。板の状態に合わせて、職人が手作業で進めています。機械を使えば効率よくできる工程もありますが、機械に任せる部分と、人の手で仕上げる部分を使い分けることが大切だと思っています。機械で形をつくった部分も、最後の研磨や仕上げには人の手が欠かせません。ひとつのひとつの工程で手間をかけて仕上げています。

伝統的な技術と最新技術を使いこなす職人たち

 —日田は家具の産地でもあるのですね。

河津さん: そうなんです。日田は、家具の中でも椅子やソファ、テーブルの脚など、いわゆる「足物家具」の産地として発展してきました。家具づくりは分業も多い業界ですが、私たちは材料の仕入れから加工、塗装、出荷まで一貫して対応できることを強みとしています。日田の家具づくりや、地域にある技術について、もっと多くの方に知ってもらえたらうれしいですね。

—今後の日田での家具づくりにおいて、どんな取り組みをしていきたいですか?

河津さん: まずは、日田が家具の産地であることを、全国の方にもっと知ってもらいたいです。そして、家具そのものだけでなく、それをつくる職人にも目を向けてもらえたらと思います。職人の仕事は、完成した商品が注目される一方で、つくり手の姿はなかなか見えません。家具職人はかっこいい仕事なんだと伝えていきたいですし、子どもたちが「自分のお父さん・お母さんが家具職人なんだぞ」と誇りに思えるような業界にしていきたいです。

—最後に、BESSユーザーへメッセージをお願いします。

河津さん:木は、使い続けるうちに色や表情が変わり、味わいが増していきます。そうした経年変化を楽しめるのは、無垢材ならではの魅力です。大切に使うほど家具への愛着も深まりますし、木もその想いに応えてくれるんですね。一つひとつ思いを込めてつくっていますので、手をかけながら長く使っていただけたらうれしいです。 

日田の木工技術を受けづく 日東木工 河津氏

BESSの家と、日田の家具が紡ぐ暮らし

無垢の杉でできたこの家具は、完成した時が一番美しいのではありません。使い込むほどに色が深まり、艶が出ます。時にはついてしまうキズやシミさえも、家族がそこで暮らした「思い出の証」として刻まれていきます。BESSの家と同じように、お手入れをしながら経年変化を楽しめる「一生モノ」の家具なのです。

日田の森で育ち、日田の職人の手で形になった日田材の家具を囲み、日田の森に想いを巡らせてみると、ちょっとしたひと時が特別になる気がします。ぜひ、そんな豊かな時間を日田杉の家具とともに過ごしてみてください。

日田杉ダイニングテーブル

日田杉ダイニングテーブルの詳細はこちら

日田杉座卓テーブル

日田杉座卓テーブルの詳細はこちら


職人の技が生む端部の反りが、デザインに趣きを添える


商品詳細・ご購入はこちら

日田杉ダイニングテーブル

日田杉座卓テーブル

[ 文/小野寺]

ブログに戻る